Luxologyからmodo 701がリリースされました。modo 601から13ヶ月ぶりのメジャーリリースで、The Foundry社との合弁後の最初のメジャーバージョンアップとなります。NukeやMariなどThe Foundryファミリーの仲間入りをいたしましたので、ロゴも黄色くなりました。マーケティング的に製品の名称は他の製品名と並べたときに違和感がないようにMODOと大文字になりましたが、アプリケーション的には以前と同じ小文字の名称を使っていますので、このブログでは小文字のmodoで表記することにいたします。
modo 701の機能を紹介するサイトMODO 701 Tourが既にLuxology.comに公開されていますが、このブログでも今回のアップグレードの概要を解説したいと思います。modo 601では、デフォーメーションエンジンの搭載やキャラクターアニメーション機能の搭載など派手な機能追加が目立っていましたが、modo 701ではmodo 601で搭載された機能のワークフローを精査し、より完成度を高くするための改善や機能追加が行われました。
パーティクルシミュレーション
modo 701のハイライトといえるのが、新しく搭載されたパーティクルシミュレーションです。パーティクルの機能は、modo 601にも搭載されていましたが、modo 701ではエミッターなどダイナミックにパーティクルを生成するシミュレーションエンジンが搭載されました。ライブシミュレーション機能を使っていろいろな方法でパーティクルを発生させることができます。また、modo 601で組み込まれたダイナミクスエンジンとシームレスに連携させることができるのもmodoのパーティクルシミュレータの特徴です。新しいインフラが追加されるたびに既存の機能との連携が行えるようになるのがmodoの強みだと思います。パーティクルのスカルプティングやメッシュへの変換なんかもできちゃいます。
Python API
701ツアーの紹介ページでは、ほとんど解説されていませんが、Pythonスクリプトのインタープリタが大幅に強化されています。modoのコマンドライン版であるmodo_clに -console:pythonという引数をつけて起動すると、Pythonのコンソールとしてmodoを使用することができるようになります。また、従来SDKでしかアクセスできなかったストレージオブジェクトの機能もPythonから利用できるようになりましたので、画像データのピクセルデータなどにもアクセスできるようになりました。非常に強力です。
アニメーションワークフローの強化
modo 601では、フルタイムIKエンジンとデフォーメーションエンジンが搭載され、キャラクターアニメーションの制作が可能になりました。modo 701では、更にこのアニメーションのワークフローを見直し、アニメーション作業レイアウトの大幅な変更、オーディオサポート、タイムツールやモーションパスの編集機能の追加が行われています。中でもインタラクティブに親子関係を変更することができるダイナミックペアレンティングやポーズツールのダイナミックピニングの機能の使い勝手は絶品です。
スケマティックビューの強化
パーティクルシミュレーション、ダイナミクス、アニメーションの設定など、スケマティックビュー上で行う作業が大幅に増えています。modo 701では、このスケマティックビューの大幅な改良を行い、より高速に使いやすく作業ができるような工夫がたくさん追加されています。また、SDKを使ってサードパーティのプラグインがスケマティックビューを利用できるようなAPIも用意されています。
プレビューの高速化
一言で言ってしまうと簡単なのですが、プレビューレンダリングの速度が前バージョンと比べものにならないぐらい高速になっています。modoのベータテスターの間でもこのプレビューの高速化をmodo 701バージョンアップのNo.1と評価している改善点です。その他、AAフィルターのサポートやプログレッシブレンダリングの中断・再開機能なども追加されています。
ユーザーインターフェイス
ユーザーインターフェイスに関する機能追加も今回は盛りだくさんです。まずは組み込み型のグラディエントエディタがあります。modoのチャンネルはほとんどが時系列のカーブを設定することできます。これらのチャンネルに小さな画面のグラディエントエディタが組み込まれるようになりました。ヘアのマテリアルなどグラディエントをたくさん使う設定では非常に便利です。また、Ctrl+TABキーで選択可能なレイアウトスイッチャーも見栄えがする新機能です。OSのアプリケーション切り替えのようにモデルやレンダリングのレイアウトを素早く切り替えることができます。
モデリング機能の強化点
モデリング関連では、トポロジー再編集機能の強化項目としてコンターツールの追加とブリッジツールの強化およびトポロジーペンの機能追加を行っています。背景の形状に対してコンターツールで輪切りのカーブを生成し、ブリッジツールでそれらのカーブのリングをつなぎ合わせることで簡単に背景メッシュにフィットしたポリゴン数の少ないメッシュを作ることができます。また、エッジベベルツールの新しいシェープオプションやエッジやポリゴンのコピーアンドペースト機能の改善も人気が高い機能強化です。
スカルプティング
modo 701の紹介画面では、たくさんの有機的なモデルデータのレンダリング画像が使用されています。modo 701ではスカルプティング速度の大幅な向上とスカルプティングHUDやマスキング機能による使い勝手の向上が行われています。先日行われたmodo 701リリースのウェビナーでは、ベータユーザーのGreg Brownさんがみごとなスカルプティングのデモを披露してくれました。
レンダリングとシェーディング
レンダリング関連もたくさんの変更が行われています。まず、一番大きく変更されたのはシェーダの評価エンジンです。これは最終レンダリングのみならずシェーダツリーでの作業レスポンスが大幅に向上されています。沢山のマテリアルやアイテムを持つシーンでのマテリアル設定作業を601と比較してみるとその違いに気がつかれると思います。また、環境のインポータンスサンプリングがサポートされました。これはレンダリングに対する影響度の大きい重要な最適箇所を環境マップから抽出する技術で、モンテカルロ法と組み合わせてよりノイズの少ないレンダリングを高速に行うことが可能になります。フィジカルスカイの計算モデルも従来のモデル式よりもより精度の高いモデルに変更されました。その他にも、カーブレンダリングの機能強化やレンダリング時に動的にモデルデータを呼び出すレンダープロキシーの機能など沢山の強化が行われています。
Linux版
これはまだベータ版としての公開ですが、第三のプラットフォームとして、Linux版が開発されました。OSX版やWindows版と同じようにデスクトップアプリケーションとしてLinux上でmodoを使用することができるのに加え、レンダーファーム用のmodoレンダラーとしての用途にも期待できます。modoのライセンスを購入するとWindows版やOSX版と一緒に追加料金無しで使うことができます。
その他の個々の機能に関しては、YouTubeのMODO 701 Sneak Peeksでも機能紹介ビデオを観ることができますが、このブログで少しずつ紹介していきたいと思います。
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